今回は移動平均線を基に作られた二種類の手法をご紹介します。
前回の記事:テクニカル手法(移動平均線・ダイバージェンス)
前々回の記事:基本テクニカル手法(三尊・ダブルトップ)
いずれのツールも世界中のトレーダーが利用しているツールになり、
FXを知っている人物と話せば「ボリバン」「一目均衡表」とごく普通に会話に出てくるほどにメジャーです。
スタイルによっては、使わずにトレードをすることももちろん可能ですし、使っていないトレーダーさんも多くいらっしゃいます。
しかし、知識の1つとして是非とも習得しておくべきツールとなっています。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、FXチャート上に3本~5本の線を表示させて、値動きの反転目安や方向性を見ることができるツールです。
実際に見てみると、真ん中に軸(ミッドバンド)になる緑の線があるのが分かりますね。
これが前回の記事で解説した移動平均線となります。
もちろん期間に関しては自分で設定することが可能となりますので、反応が多い、自分に一番しっくり来る期間を選んで頂いて問題ありません。
ちなみに筆者は20日でミッドバンドを設定し、50日と200日移動平均線を組み合わせて使っています。
続いて、ミッドバンドを中心に一定間隔で表示されている計4本の線。
ミッドバンドの1つ上が「+1シグマ」更に上の線が「+2シグマ」となり、
反対にミッドバンドの下も内側が「-1シグマ」外側が「-2シグマ」と呼ばれています。
初見ではゴチャゴチャとややこしく見えますが、見方さえ分かれば大変使いやすいツールとなります。
値動きのスクイーズ(縮小)エクスパンション(拡大)がこのシグマの線で可視化されており、シンプルに「エクスパンションしていればボラティリティが増しているのでエントリー」「スクイーズしていればエントリーはしない」こういった判断にも使えます。
又、各シグマ内で値動きが収まる確率は
1シグマ=68.27%
2シグマ=95.45%
と統計が出ているので、根拠としてエントリーが出来ますね。
残念ながら未来のチャートまでを予測して動いてはくれないので、あくまでも移動平均線と同じように「値動きによって形作られるもの」という認識が必要です。
又、統計上の確率とバンドを信じ切って、反発を狙ったトレードをしていると
バンドウォークという現象に狩られてしまう可能性もあります。
こちらの画像の通り、シグマ線にぶつかって反発上昇するかと思いきや
そのままシグマ線を歩くように下落を続けていますね。
これをバンドウォークと言います。
ボリンジャーバンドだけを根拠にして買いエントリーで入ってしまうと、反発せずに捕まってしまうことがありますので、注意が必要です。
その点さえ気を付ければ、他のツールと組み合わせて大変便利に利用できると思います。
一目均衡表
一目均衡表とは、1936年に日本人によって考案された世界中で親しまれているツールです。
海外では「ichimoku」と表記されたりするので、少しかわいい感じがしますね。
名前の由来は相場が一目瞭然になるツールと、製作者である細田悟一さん(ペンネーム:一目山人)が考案したことをかけているとのこと。
90年程の歴史を持つこのツール。細田さんが独自の研究所を設立して2000名の職員と7年の歳月をかけて開発したとされています。
日本初のパソコンが業者を中心に市場に出回ったのが1980年頃なので、その50年前にこの緻密なツールを開発したのは驚愕の一言。
恐らくほぼ手計算でバックテストとフォワードテストを繰り返して完成させたのでしょう。
当初は株価用のツールとして開発されたようですが、当然FXにも抜群の相性を誇ります。
大きな違いは、一般的な分析が「価格」を軸に作成されているのに対して、
一目均衡表は「時間」を軸に作成されており、あくまで価格は二次的な物としているようです。
相場で利用する際には「いくら」ではなく「いつ」という時間的概念で分析をすることが出来るようになるんですね。
そしてこのツールの特徴はもう一つ。「未来の予測」をすることが出来ます。
ここからは、一目均衡表を構成する5本の線について解説していきたいと思います。
こちらが一目均衡表を表示させたチャートです。
実際の見方ですが、画像の通り多くの要素で構成されている為、様々な分析をすることができます。
一目均衡表の確度が高まるのは、「日足」です。
これはトレーダーではなく、製作者本人が勧めていることなので、信頼できますね。
次に基準線と転換線です。これは2つの線が交差することに注目しましょう。
基準線だけであればトレンド判断に利用出来、ローソク足が基準線の上にあれば上昇トレンド、下なら下降トレンドという見方ができます。
そして転換線との交差は、②で解説したGC(DC)を確認することができます。
転換線が基準線を上抜けると買いサイン。下抜ければ売りサインです。
先行スパンは、先ほど触れたように、「現在の価格から未来を予測します。」ですが機能はそれだけではありません。
画像を見ると、先行スパン同士が交わるエリアが緑色に塗りつぶされています。
これを雲と言い、ローソク足が雲より上なら相場の勢いが強く、下なら弱いという判断ができます。そして雲を上抜けしたら買いサイン。下抜けたら売りサインです。
雲の中で値動きが揉み合っているときは、雲自体がサポレジとして機能する仕組みにもなっています。
そして最も重要と言っても過言ではないのが、遅行スパンです。
この線がローソク足を上抜けたら買い、下抜けたら売りの判断ができ、視覚的にも大変分かりやすいシグナルになります。
これらの要素を組み合わせた一目均衡表ですが、相場状況によって強力な役が揃うことがあります。
それが三役好転(三役逆転)と言われるもので、
・転換線が基準線を上抜く
・遅行スパンがローソク足を上抜く
・ローソク足が雲を上抜く
この3つが揃うと大変に根拠の強い買いシグナルとなります。
逆の場合は三役逆転になり、売りシグナルという判断になりますね。
2つの条件が揃った段階でエントリーしても相応に確度が高いと言えますが、
全てに共通して言えることは、「これだけを信用しないこと」です。
他にも、三尊や違う期間の移動平均線、RSI等を組み合わせて、更に根拠を強くして利用しましょう。
まとめ
今回の記事では、②で解説した移動平均線を利用した2つのツールを紹介しました。
①から③までのテクニカル手法を身につければ、チャートの読み解きがかなりラクになりそうですね。
ですが、ここで一つ注意点があります。
初心者の方には、
「あらゆるツールを組み合わせれば、どんな相場にも対応できる。」と思って
ボリンジャーバンド、一目均衡表、多数の移動平均線、オシレーターを同時に表示させてしまう場合があります。
全てを俯瞰して整理して見ることが出来れば問題はありませんが、現実的には厳しいものがあります。
ご参考の為に
移動平均線5日・20日・50日・200日
一目均衡表、ボリンジャーバンド
RSI,MACD
トレンドライン
を表示させた筆者のチャート画面をご覧下さい。
(通常使っているのは太字のツールのみです)
如何でしょうか。
このように、煩雑になり読み解くことが大変困難になってしまう為、
ツールは適度に、必要なものを組み合わせて表示させることをおすすめします。
最初のうちは一つずつをデモ口座で使ってみるのも良いですね。
今回の記事が、皆様の知識の肉付けにさらに貢献できれば幸いでございます。